秋の金沢 三文豪のまち 「鏡花、秋聲、犀星の世界を楽しむ」  
 
財団法人 金沢文化振興財団
 
  徳田秋聲記念館 耳で読む秋聲 朗読「町の踊り場」  
 

2005年10月16日(日) 17:30

 
  徳田秋聲記念館がオープンし、三文豪(泉鏡花、徳田秋聲、室生犀星)各記念館揃い踏みとなり、志賀館長、学芸員大木さんより「町の踊り場」朗読の依頼をお受けし、全力で頑張ります!と気を引き締めました。
会場は記念館2階、浅野川に架かる梅の橋を背景とした豪華なセッティング・・・益々気合が入りました。
 
     
  「町の踊り場」 (1933年)

「私は田舎の姉が危篤だといふ電報を受取つて、息のあるうちに言葉を交したい思つたのである。さういふことでもなければ、帰る機縁の殆んどなくなつた私の故郷であつた。」

朗読 高輪眞知子

 

 
         
    終演後、ライトアップされた梅の橋と浅野川を背に、徳田章子名誉館長、志賀館長と共に記念撮影!  
         
 


「到頭私はソシアル・ダンスと紅い文字で出てゐる、横に長い電燈を見つけることが出来た。往来に面した磨硝子に踊つてゐる人影が仄かに差して、ヂヤヅの音が、町の静謐を掻乱してゐた。」  SE (Softly, As In A Morning Sunrise)

 
         
  「鮎があると申し上げたの。」
「さうなんだ。」女中に代つて、私が答へた。
「私は鮎を食べさしてもらふつもりで、上つたんだし、それ以外のものも、かういふものは食べられないんで。こつちで註文できないとすると・・・。」

 私は通りへ出て、そこから一町ほど先にある、今死んだ姉の末の娘の片づいてゐる骨董屋へ飛込んだ。骨董屋といつても、店先きには格子がはまつてゐた。清らかに片づいたその店には、何一つおいてなかつた。私は八十を幾年か越した筈の、お婆さんに断つて茶の間の前にある電話にかかつた。そして甥を呼出した。
「それあ多分生きた鮎がなかつたんでせう。あすこでは、死んだ鮎はつかひませんから。」

   
     


 
     
音響・照明 表川なおき
 
 

徳田秋聲記念館 企画展 秋聲と二つの金沢 「挿話」/「町の踊り場」
開催期間平成17年8月8日(月)〜11月6日(日)会期中無休
ホームページ http://www.city.kanazawa.ishikawa.jp/bunho/shusei/index.htm

       
 
 
       
  朗読時の挿入歌について    
 



Softly, As In A Morning Sunrise



1928年のミュージカル『ニュー・ムーン』の挿入歌
Oscar HammersteinU作詞
Sigmund Ronberg作曲

  朝日のようにさわやかに 
恋の光が新しく生れる日に忍び込む
恋の炎は朝日に燃え 
熱い口づけは裏切られる愛を誓う
情熱は愛をときめかせ 
きみを天国へ昇らせるが
また愛を殺し 
きみを地獄へ落とすこともする
どの物語にも終わりがあり 
夕日のようにそっと
あなたを喜ばせた光は 
すべてを奪って去って行く
 
 
    (青木啓『アメリカン・ポピュラー』誠文堂新光社1979) 
         





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制作 表川なおき
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